選択制確定拠出年金_厚生年金保険料率

厚生年金の加入逃れが問題となっています。

厚生労働省と日本年金機構は、厚生年金の加入を逃れている中小零細企業約80万社に対して、2015年4月以降、強力な指導に乗り出す方針を発表しました。

以下ではこの「厚生年金加入逃れ」の背景とこれまでの社会保険庁のずさんな対応を考察します。

 

厚生年金の「加入逃れ」問題とは?

1.厚生年金の加入要件

厚生年金保険は、事業所が一定の条件を満たすことで強制的に加入が義務づけられています。加入選択制ではなく強制なのです。

・常時従業員を使用する法人(株式会社や、特例有限会社など)の事業所
・常時5人以上の従業員を使用する個人事業所(旅館、飲食店、理容店などのサービス業は除きます。)
・船員が乗り組む一定の条件を備えた汽船や漁船などの船舶

適用事業所(厚生年金に加入している事業所)になると、従業員を被保険者として資格の届出を行い、保険料(労使折半)を一括して、毎月納めなければなりません。

にもかかわらず、政府によると、約80万社(中小零細企業)が厚生年金への加入を逃れているとのことです。

この「厚生年金加入逃れ」問題はなぜ発生してしまうのでしょうか。

2.厚生年金加入逃れ問題 発生の背景

中小零細企業が「厚生年金加入逃れ」に走ってしまう理由は、厚生年金保険料が高く、企業経営を圧迫してしまうからです。

現行の厚生年金保険料率は、17.474%です。これを労使で半額ずつ負担しあっています。

給与が30万円の従業員の例で考えてみましょう。

給与が30万円の人は、標準報酬月額も30万円です。

ということは、30万円×0.17474÷2=26,211円…①

厚生年金に加入している従業員は原則として健康保険にも同時加入します。

上記の例の人は、健康保険でも標準報酬月額は30万円です。

30万円×0.1÷2=15,000円…② (健康保険の保険料率は10%とします)

結局、①+②=41,211円が会社が1ヶ月あたり負担する額です。

もし、同じ給与の社員が10人いたとすると、毎月40万円以上の額を会社は負担しなければなりません。

この負担を逃れるために、会社ぐるみで「厚生年金加入逃れ」が横行しているのです。

「厚生年金加入逃れ」を正当化することはできませんが、確かに、中小零細企業にとっては大きな負担です。

3.「厚生年金加入逃れ」で従業員はどうなる?

自分が勤めている会社が厚生年金に加入していないとすると、その従業員は会社勤めをしているにもかかわらず、厚生年金に加入できません。

したがって、自営業者と同様、国民年金保険料(現行1万5590円)を自分で納めなければなりません。

しかも、将来は基礎年金(現行1ヶ月あたり約6.5万円)しか受給できませんので、老後の生活資金が非常に不安視されます。

これでは、従業員のモチベーションも上がりませんし、長くその企業で働こうという動機付けもできません。

大阪の社会保険労務士_就業規則・社労士顧問ページ

 

 

「厚生年金加入逃れ」に対する社会保険庁の対応

1.旧社会保険庁のずさんな対応

それでは、この「厚生年金加入逃れ」に社会保険庁はどのように対応してきたのでしょうか。

読売新聞は、平成27年5月8日の記事でこの問題を取り上げています。

ポイントは、旧社会保険庁の対応がずさん極まりなかったことにつきます。

例えば、加入している事業所の経営が悪化すると、社会保険庁の職員のから「虚偽休眠届」の申請を勧めていたようです。

理由は、自分の管内で保険料の滞納が多いと、幹部の人事評価が低くなるからです。

滞納しそうな事業所は加入させたくない、という意識が広がっていたようです。いかにも、その場しのぎの役人的対応ですね。

2.日本年金機構は実効性のある指導を行えるのか?

そこで今年度から、日本年金機構は国税庁とタッグを組み、実働している企業を特定し、集中的に厚生年金加入指導を開始するようです。

厚生年金加入逃れが疑われる約80万社に対し、立ち入り検査などの強制措置の権限を背景に、強く厚生年金加入を求めていくとのことです。

しかし日本年金機構の職員約1万2,000人のうち、約7割が旧社会保険庁からの移籍組みで占められており、どこまで組織体質を改善できるかが疑問視されています。

―以上読売新聞 平成27年5月8日記事を要約―

大阪の社会保険労務士_就業規則・社労士顧問ページ

 

 

中小企業こそ選択制確定拠出年金(401K)の導入をご検討下さい。

1.「厚生年金加入逃れ」問題から浮かび上がる事実

法律で加入が義務付けられている以上、「加入逃れ」は正当化できません。社会保険料をきちんと納めている企業に対してもアンフェアーですし、従業員の将来の年金に直結する重大な問題です。

しかし、この「加入逃れ」問題から浮かび上がるのは、社会保険料が企業にとってかなり負担になっている事実です。

今後も社会保険料はますます増加していくことが予想されます。そうなると、社会保険料倒産が増加するかもしれません。

2.選択制確定拠出年金(401K)は中小企業の味方

企業が負担する社会保険料はできるだけ削減し、従業員の将来の生活資金も確保したい!

これが、企業の本音ではないでしょうか。この本音にズバリ対応した制度が選択制確定拠出年金(401K)です。

当事務所では、選択制確定拠出年金(401K)の導入専門事務所です。従業員・会社双方の社会保険料が削減できる、選択制確定拠出年金(401K)についてはこちらをご覧ください。

大阪の社会保険労務士_就業規則・社労士顧問ページ

 

 

労務専門コラム 年金行政の怠慢編

>>①厚生年金加入逃れに見る社会保険料の重み(今このページです)
>>②グリーンピアと年金問題
>>③AIJと消えた年金問題
>>④また年金記録が消える。日本年金機構は大丈夫か?
>>このカテゴリ(年金行政の怠慢編)のトップへ戻る

 

就業規則_人事労務相談_社会保険労務士_大阪

 

【この記事の執筆者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士、行政書士、奈良県橿原市議会議員
タスクマン合同法務事務所 代表
 〒542-0066 大阪市中央区瓦屋町3-7-3イースマイルビル
 (電話)06-7739-2538 
(投稿日時点の法制度に基づき執筆しています。)