選択制確定拠出年金_失業給付

選択制確定拠出年金(401K)に掛金を拠出し、標準報酬月額が下がると、社会保険料等が削減できるメリットがあります。

一方、雇用保険の基本手当(失業給付)低下した賃金額をもとに支給額が決定されるため、選択制確定拠出年金(401K)に掛金を拠出し、賃金額が下がることで、いざという時の支給額が減少します。下記では、雇用保険の失業給付に絞って選択制確定拠出年金(401K)のデメリットを徹底検証します。

 

雇用保険の失業給付とは?

1.雇用保険の失業給付の支給要件

雇用保険の失業給付は、「失業すれば誰でも受けられる」というわけではありません。雇用保険の被保険者が離職したことを前提に以下の条件を満たす必要があります。

・雇用保険法上の「失業」状態にある方がハローワークに来所し、求職の申込みを行うこと。
・離職の日以前2年間に、被保険者期間(※)が通算して12か月以上あること。

ただし、特定受給資格者(会社都合の退職の方など)又は特定理由離職者(有期契約の雇い止めによる離職の方など)については、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上ある場合でも受給できます。

※ 被保険者期間とは、雇用保険の被保険者であった期間のうち、離職日から1か月ごとに区切っていた期間に賃金支払いの基礎となった日数が11日以上ある月を1か月と計算します。

2.失業給付の支給額

雇用保険で受給できる1日当たりの金額を「基本手当日額」といいます。「基本手当日額」は、まず、原則として離職した日の直前6か月に毎月支払われた賃金(賞与等は除く)の合計を180で割って算出した金額(「賃金日額」)を算出します。

そして、その賃金日額のおよそ50~80%(60歳~64歳については45~80%)が基本手当日額です。

※ 賃金の低い方ほど高い率となっています。

3.失業給付の所定給付日数

所定給付日数とは、雇用保険の被保険者が基本手当を支給される日数をいいます。以下の表は一般の被保険者の所定給付日数です。※特定受給資格者や特定理由離職者は含みません。

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雇用保険の失業給付と選択制確定拠出年金(401K)の検証

1.選択制確定拠出年金(401K)を利用しない場合の失業給付

例えば、29歳、給料30万円の人で選択制確定拠出年金(401K)を利用していないとします。

この方の賃金日額は10,000円です。(300,000円×6か月÷180)

基本手当日額は5,000円とします。(賃金日額の50%が適用されたと仮定)

2.選択制確定拠出年金(401K)を利用する場合の失業給付

一方、同じ29歳、給料30万円の人が、選択制確定拠出年金(401K)を利用し、月額2万円の拠出金を積み立てていたとします。

この方の賃金日額は9,333円です。(280,000円×6か月÷180)

そして、同じく賃金日額の50%が適用されたとして、この方の基本手当日額は、4,667円です。

3.選択制確定拠出年金(401K)のデメリット徹底件検証

上記の例では5,000円-4,667円=333円が1日あたりの選択制確定拠出年金(401K)によるデメリット分です。

仮に、所定給付日数90日分全額の支給を受けたとすると、333円×90日=29,970円がデメリットです。

4.選択制確定拠出年金は大きなデメリットと言えるか?

みなさんは、今まで何回雇用保険の基本手当を受給されたことがあるでしょうか。もし、10年間のうち1回、所定給付日数分(例えば、90日)の全部を受給したとしても、上記のように29,970円分のデメリットにすぎません。

しかし、選択制確定拠出年金(401K)の利用により、社会保険料だけでも1か月あたり2700円程度の削減効果があります。10年間削減しつづけると、社会保険料だけで32万円以上の削減効果(メリット)があります。

このように現実的に検証した場合、選択制確定拠出年金(401K)は、雇用保険の基本手当を受ける際の大きなデメリットとはなり得ないわけです。

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【この記事の執筆者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士、行政書士、奈良県橿原市議会議員
タスクマン合同法務事務所 代表
 〒542-0066 大阪市中央区瓦屋町3-7-3イースマイルビル
 (電話)06-7739-2538 
(投稿日時点の法制度に基づき執筆しています。)