選択制確定拠出年金_公的年金 

選択制確定拠出年金(401K)導入により、将来の年金受取額が減少します。

逆に選択制確定拠出年金(401K)導入によって社会保険料が下がります。

年金減少額と社会保険料の減少額を比較します。

 

国民年金と厚生年金の支給額

1.国民年金(老齢基礎年金)の支給額の計算方法

国民年金の老齢基礎年金は、定額制です。20歳から60歳になるまでの40年間の全期間保険料を納めた方は、65歳から満額の老齢基礎年金が支給されます。

平成27年4月分からの年金額は 780,100円(満額)です。

※ 未納期間や保険料免除期間があればその分の年金額は減らされます。

2.厚生年金(老齢厚生年金)の支給額の計算方法

厚生年金の老齢厚生年金の支給額は報酬比例制です。報酬比例制とは、現役時代の収入によって年金額が違ってくるという制度です。

つまり、高い保険料を払った方は、より高い支給額になるという仕組みです。

老齢厚生年金の支給額の計算方法はをおおまかにいうと次の通りです。

入社したときから退社するときまで(転職した場合は通算)の全期間の給与や賞与(標準報酬月額・標準賞与額)の平均額を算出します。

次に生年月日によって決まっている給付乗率と厚生年金保険に加入した月数を掛けます。

上記の計算で年金額を算出します。

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選択制確定拠出年金(401K) 年金額のシミュレーション

1.シミュレーションの前提

以下は、選択制確定拠出年金(401K)を利用していない場合と利用した場合の将来の公的年金額のシミュレーションです。ただし、あくまで現在の水準で計算したものです。

将来、公的年金制度がこの水準で維持されることはありえませんので、数値は概算にとどめます。

以下の条件を仮定してみます。

・国民年金には40年間(480か月)加入し、満額受け取れる
・20歳から60歳までの40年間(480か月)厚生年金に加入
・65歳で定年退職する
・平均標準報酬額は30万円(入社時20万円、退職時40万円のようなイメージです)で、賞与はない
・確定拠出年金を利用した場合の掛金拠出額は4万円で、480か月積立てる
・平均余命である85歳まで年金を受け取る

2.選択制確定拠出年金(401K)を利用していない場合

・国民年金(老齢基礎年金)の保険額

780,100(満額)円…①

・厚生年金(老齢厚生年金)の保険額

300,000円×5.481/1000×480=789,264円…②

※ 保険料率は厚生年金法43条1項の原則式を使用

この方の公的年金額は、①+②=1,569,364円…③です。

3.選択制確定拠出年金(401K)を利用していた場合

・国民年金(老齢基礎年金)の保険額

780,100(満額)円…④

※ 選択制確定拠出年金(401K)を利用しても国民年金には影響ありません。
・厚生年金(老齢厚生年金)の保険額

260,000×5.481/1000×480=684,029円…⑤

この方の公的年金額は、④+⑤=1464,129円…⑥です。

それでは、選択制確定拠出年金(401K)を利用していなかった人と利用していた人ではどのくらい公的年金額に差がでるのでしょうか。

③-⑥=105,235円…⑦

つまり、⑦の金額が401Kを利用した場合に1年間に減額されてしまう保険金額です。

とすると、この人が平均余命の85歳まで生きたと仮定しますので、⑦×20年=2,104,700円…⑧。

結局、⑧の金額分が選択制確定拠出年金(401K)を利用した場合における公的年金の減額部分(デメリット)です。

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選択制確定拠出年金(401K)導入と社会保険料

次に、選択制確定拠出年金(401K)によって、社会保険料(厚生年金と健康保険)がどの程度減額されるかのシミュレーションを行います。

仮定の条件は上記と同じです。

1.選択制確定拠出年金(401K)を利用していない場合の1ヶ月あたりの社会保険料

300,000円×0,08737(平成26年度保険料率)=26,211円…⑨

⑨の額が、上記の条件のもとで、この人が1ヶ月に払う厚生年金の保険料です。

300,000円×0.1÷2=15,000円…⑩

⑩の額が、上記の条件のもとで、この人が1ヶ月に払う健康保険の保険料です。※ 健康保険の保険料率は10%とします。

つまり、⑨+⑩=41,211円…⑪がこの人の1ヶ月の社会保険料です。

2.選択制確定拠出年金(401K)を利用している場合の1ヶ月あたりの社会保険料

260,000円×0,08737=22,716円…⑫

⑫の額が、上記の条件のもとで、この人が1ヶ月に払う厚生年金の保険料です。

260,000円×0.1÷2=13,000円…⑬

⑬の額が、上記の条件のもとで、この人が1ヶ月に払う健康保険の保険料です。

つまり、⑫+⑬=35,716円…⑭がこの人の1ヶ月の社会保険料です。

3.結論 選択制確定拠出年金と公的年金受取額

⑪-⑭=5,495円…⑮が1ヶ月あたりの社会保険料の減少額です。

したがって、⑮×12ヶ月×40年間=2,637,600円…⑯がこの人の生涯における社会保険料の減少額です。

それでは、選択制確定拠出年金(401K)を利用しない場合と利用した場合を比較したらどうなるでしょうか。

⑯-⑧=532,900円が、減額された公的年金分を上回る、社会保険料の減少メリット分です。

また、標準報酬額を下げることで、所得税、住民税も同時に削減できます。しかも、40年間分の運用益がこれにプラスされます。

したがって、選択制確定拠出年金(401K)に拠出することによって、非常に高い確率で減額された年金分を上回る収益を得ることが可能です。

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労務専門コラム デメリット検証編

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【この記事の執筆者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士、行政書士、奈良県橿原市議会議員
タスクマン合同法務事務所 代表
 〒542-0066 大阪市中央区瓦屋町3-7-3イースマイルビル
 (電話)06-7739-2538 
(投稿日時点の法制度に基づき執筆しています。)