選択制確定拠出年金_マッチング拠出

 

平成24年1月1日から従業員拠出(マッチング拠出)が開始されました。

企業型確定拠出年金を導入している、もしくは導入予定の企業で、会社が払う掛金に加えて、従業員自身も自らの給与の一部を拠出できる制度です。

以下では、そのマッチング拠出について解説し、選択制確定拠出年金(401K)との違いについても比較します。

 

マッチング拠出の仕組み

1.マッチング拠出制度の目的は何か?

従来、確定拠出年金は退職給付制度として位置づけられていました。したがって、会社側しか掛金を拠出できない仕組みになっていました。

それに対しマッチング拠出は、会社と従業員双方が確定拠出年金の掛金を拠出し、退職後の資産形成の新たな選択肢を提供することを目的としています。

2.マッチング拠出金額について

マッチング拠出を利用して自分で上乗せできる額には上限があります。以下の2点に注意してください。

①自分が出すお金(加入者掛金)は、会社が出すお金(事業主掛金)を超えることはできません。

②自分と会社が出すお金の合計が毎月の上限額(55,000円※)を超えることはできません。

※企業年金を併用している場合は月額27,500円

事業主掛け金を超えて個人が掛金を出せないのは、あくまで企業年金の主たる拠出者は企業であるという考えに基づいています。

3.マッチング拠出の税制面上のメリット

マッチング拠出の拠出分は所得控除されます。つまり非課税です。積み立て分は自分の将来の生活資金のために運用されます。

また「確定拠出年金資産にかかる運用益のすべて」が非課税です。
  
確定拠出年金では定期預金、投資信託などが運用の選択肢です。定期預金の利息収入、投資信託の売却益、投資信託の収益分配金のいずれもが非課税です。

現在の定期預金の利息はほんのわずかなものです。にもかかわらず、通常の定期預金の利息分には課税されることを思えば、税制面で非常に優遇されています。

受取時は退職金や企業年金に準じた税制優遇が受けられます。会社側の拠出金ではない、自分で負担したお金についても「退職所得控除」の対象に合算して計算することが認められます(一時金受取の場合)。

4.マッチング拠出導入時の注意点

このマッチング拠出にも利用の条件があります。以下の点にご留意ください。

①会社がマッチング拠出の導入を決定した場合にのみ利用できる。

マッチング拠出が可能かどうかは、企業型確定拠出年金を実施する個々の会社のルール次第です。

②選択制確定拠出年金(401K)と違い、マッチング拠出には社会保険料の削減効果はない。

選択制確定拠出年金(401K)は、掛金を拠出し、標準報酬月額を下げると社会保険料が削減できます。

しかし、マッチング拠出の拠出額部分は、所得税、住民税は削減されますが、社会保険料の対象となる給与の控除対象ではありません。

つまり、マッチング拠出の拠出額部分に社会保険料の削減効果はありません

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選択制確定拠出年金(401K)とマッチング拠出の比較

1.選択制確定拠出年金とマッチング拠出を比較

  選択制確定拠出年金(401K) マッチング拠出
自らが拠出できる最大額 最大55,000円 最大27,500円
税金(所得税、住民税) 課税対象外 課税対象外
社会保険料等 課税対象外 × 課税対象

 

2.マッチング拠出の現状

マッチング拠出で認められた従業員拠出額は、企業拠出額を超えることができないという制限があります。

現状では、この規定が足かせとなり十分な効果が期待できません。

例えば、企業拠出が10,000円とします。上記の規定により、従業員拠出の上限額は企業拠出を上回ることができないため10,000円が上限となります。つまり企業と従業員の合計で20,000円です。

所得控除の認められた拠出額55,000円に対して、35,000円以上の節税枠が利用できなくなってしまうのです。

社会保険料の削減効果を最大に生かしたいのであれば、マッチング拠出よりも、選択制確定拠出年金(401K)の導入をおすすめします。

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労務専門コラム 選択制確定拠出年金運営編

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>>②選択制確定拠出年金(401K)とマッチング拠出の違い(今このページです)
>>③公務員へ転職する場合の確定拠出年金(401K)
>>④選択制確定拠出年金(401K)の掛金は?
>>⑤確定拠出年金はいつ受給できる?
>>⑥選択制確定拠出年金(401K)の加入者要件
>>⑦役員も選択制確定拠出年金(401K)に加入できるのか?
>>⑧確定拠出年金(401K)の運用商品を知ろう!
>>⑨確定拠出年金(401K)導入急増
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【この記事の執筆者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士、行政書士、奈良県橿原市議会議員
タスクマン合同法務事務所 代表
 〒542-0066 大阪市中央区瓦屋町3-7-3イースマイルビル
 (電話)06-7739-2538 
(投稿日時点の法制度に基づき執筆しています。)