このページでは労働基準法および労働契約法で規定される解雇について解説しています。

解雇の制限

1.労働基準法における解雇の制限

労働基準法では、使用者からの一方的意思表示による労働契約の解約である解雇について、次の制限を設けています。

業務上の傷病により療養のため休業する期間およびその後30日間
産前産後の女性が休業する期間およびその後30日間

尚、災害等の場合で事業継続が不可能な場合には例外規定が設けられています。

2.労働契約法における解雇の制限

一方で、使用者と労働者の個別労働契約を規定する労働契約法には、次の制限が設けられています。

労働契約法 第16条(解雇)
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」

解雇権濫用法理と呼ばれ、過去の様々な判例の蓄積により定められました。本稿では、上記①②に抵触しないケースでの解雇の解説を行います。

 

解雇予告

1.解雇の予告と解雇予告手当

解雇を行うには、少なくとも30日前に予告(解雇予告)するか、30日分以上の平均賃金の支払い(解雇予告手当)が必要です。これらは併用することができるため、15日前に予告して、残り15日分平均賃金を支払う事でも有効に成立します。

解雇の予告の場合には、解雇日の指定が必要です。(例:11月30日解雇。この場合11月30日まで勤務。)予告の起算は、予告日の翌日から始まるため、事例では少なくとも10月31日に予告することが必要です。

解雇予告手当の基礎となる平均賃金は、直近3か月間の支払総額をその期間の総日数で割ることで、1日単価を求めます。

2.解雇予告の除外

労働基準法では、解雇される労働者の生活補償のために解雇の予告と解雇予告手当の制度を認める一方、下記のケースでは例外的に除外されます。

・災害などの場合で事業継続が不可能な場合
・労働者に責任がある盗取、横領、傷害等の刑法犯、経歴詐称、職場規律を乱す行為(ただし極めて軽微なものを除く)

この場合、所轄労働基準監督署において、解雇予告除外認定を受ける必要があります。事後でも構いません。

3.解雇予告の適用除外

さらに下記に該当する労働者の場合にも、解雇予告の規定が適用除外されます。左側が適用除外、右側が適用除外の例外つまり適用される場合を示します。

解雇予告適用除外 例外(解雇予告が必要)
日雇い労働者 1箇月を越えて引き続き使用された者
2箇月以内の期間労働者 所定期間を越えて引き続き使用された者
4箇月以内の季節労働者
試用期間中の者(14日以内 14日を超えて引き続き使用されたもの

試用期間は解約権留保付雇用契約とも考えられており、試用期間経過後よりも、解雇判定のハードルが緩やかです。試用期間の内、特に14日間は、採用過程では明らかにならなかった点を評価する期間として、対象者を綿密に観察しましょう。

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【この記事の執筆者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士、行政書士、奈良県橿原市議会議員
タスクマン合同法務事務所 代表
 〒542-0066 大阪市中央区瓦屋町3-7-3イースマイルビル
 (電話)06-7739-2538 
(投稿日時点の法制度に基づき執筆しています。)