障害者が職場で円滑に働くためには、その方の障害特性に合わせた適切なサポートが必要です。そこで、本コラムでは、障害者である従業員が職場でその能力を十分発揮できるようにサポートする事業主に対する助成金をまとめてみました。

■本コラムで紹介する障害者関連の6つの助成金

1.障害者作業施設設置等助成金
2.障害者福祉施設設置等助成金
3.障害者介助等助成金
4.重度障害者等通勤対策助成金
5.重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金
6.障害者職業能力開発助成金

 

1.障害者作業施設設置等助成金

1.対象となる措置

本助成金は、2つのコースに分けられています。

本助成金を受給するために事業主が行うべき措置を以下の表にまとめました。

コース名 対象障害者 作業施設の設置・整備の条件
第1種作業施設設置等助成金 ①身体障害者
②知的障害者
③精神障害者
④中途障害者
⑤在宅勤務者
(①~④の障害者)
①作業施設等を「工事・購入等」により設置・整備すること
②設置・整備した作業施設等を対象障害者の雇用継続のために活用すること
第2種作業施設設置等助成金 ①身体障害者
②知的障害者
③精神障害者
④中途障害者
⑤在宅勤務者
(①~④の障害者)
①作業施設等を「賃借」により設置・整備すること
②設置・整備した作業施設等を対象障害者の雇用継続のために活用すること

 

2.受給額

支給対象費用×2/3

※支給対象費用とは、原則として作業施設等の設置・整備に要する費用です。(上限額あり)

2.障害者福祉施設設置等助成金

1.対象となる措置

本助成金を受給するために事業主が行うべき措置を以下の表にまとめました。

対象障害者 作業施設の設置・整備の条件
①身体障害者
②知的障害者
③精神障害者
④中途障害者
⑤在宅勤務者
(①~④の障害者)
①対象障害者の福祉の増進を図るための福祉施設等を設置・整備すること
②設置・整備した作業施設等を事業主自らが所有し、対象障害者の雇用継続のために活用すること

 

2.受給額

支給対象費用×2/3

※支給対象費用とは、原則として作業施設等の設置・整備に要する費用です。(上限額あり)

3.障害者介助等助成金

1.対象となる措置

本コースは、対象となる事業主が、対象となる障害者のために職場介助者を配置・委嘱する場合に受給することができます。

コース名 対象障害者 対象となる措置
Ⅰ 職場介助者の配置または委嘱助成金 ①2級以上の視覚障害者 その他2級または3級以上の重複障害者 以下の介助業務を行う職場介助者を配置または委嘱すること

①対象障害者の都度の判断かつ指示に基づく文書の作成とその補助業務等
②対象障害者の業務上外出の付添等

Ⅱ 職場介助者の配置または委嘱の継続措置に係る助成金 支給対象期間(10年間)終了後も引き続き職場介助者を配置または委嘱すること
Ⅲ 手話通訳担当者の委嘱助成金 2級または3級の聴覚障害者 対象障害者の業務の遂行に必要な手話通訳担当者を委嘱すること

 

2.受給額

Ⅰ職場介助者の配置または委嘱助成金

支給対象費用×3/4(支給対象期間10年間)

Ⅱ職場介助者の配置または委嘱の継続措置に係る助成金

支給対象費用×2/3(支給対象期間5年間)

Ⅲ手話通訳担当者の委嘱助成金

委嘱1回あたりの費用×3/4(支給対象期間10年間)

4.重度障害者等通勤対策助成金

1.対象となる措置

本助成金は、8つのコースで構成されています。

いずれのコースも、対象障害者に対して、事業主が通勤対策を実施した場合に受給することができます。

 

内容 上限額 支給対象期間 受給額
Ⅰ 対象障害者の障害に配慮した特別な住宅に入居させるための住宅を賃借 世帯用月10万円
単身用月6万円
10年間 支給対象費用×3/4
Ⅱ 障害者5人以上が入居する住宅に指導員(健康管理・生活指導)を配置 月15万円
Ⅲ 自ら住宅を賃借し賃料を支払っている対象障害者に住宅手当を支給する 1人月6万円
Ⅳ 障害者5人以上の通勤のためのバスを購入 1台700万円  
Ⅴ 障害者5人以上の通勤のためのバスの運転手を委嘱する 1回6000円 10年間
Ⅵ 通勤援助者を委嘱する 1回2000円 1か月
Ⅶ 自動車通勤をする障害者のための駐車場を賃借する 月5万円 10年間
Ⅷ 自動車通勤をする障害者のための自動車を購入する 1台150万円  

5.重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金

本助成金は、以下に示す対象障害者を、以下の条件で雇用している事業主が施設等を設置・整備した場合に受給することができます。

1.対象障害者

①重度身体障害者
②重度知的障害者
③知的障害者(短時間労働者を除く)
④精神障害者

2.雇用の条件

①対象障害者を、1年以上、10人以上継続して雇用していること
②従業員数に占める対象障害者の割合が20%以上であること

3.受給額

支給対象費用×2/3

※上限額原則5000万円

6.障害者職業能力開発助成金

本助成金は、2つのコースから構成されています。

Ⅰ障害者職業能力開発訓練施設等助成金

対象となる事業主が、以下の訓練対象障害者に訓練用の施設を設置・整備した場合に受給することができます。本給付金の対象となる障害者職業能力開発訓練事業は、厚生労働大臣が定める基準に適合する教育訓練でなければなりません。

 

Ⅱ障害者職業能力開発訓練運営費助成金

対象障害者に対して職業能力開発事業を事業主自らが行う場合に受給することができます。訓練対象障害者や訓練内容はⅠと同じです。

 

1.訓練対象障害者

以下の①~③のすべてに該当する必要があります。

①障害者であること
※身体・知的・精神・発達障害の他国が指定する25疾患
② ハローワークで求職の申込みを行っていること
※ハローワーク所長により職業訓練の必要性を認定されている者
③ 対象となる訓練時間の8割以上受講している者

 

2.訓練の施設または設備の設置・整備・更新

以下の①~③のすべてに該当する必要があります。
①能力開発訓練施設であること
②訓練施設等が事業主自らが所有するものであること
③ 訓練施設の設置等が受給資格認定日の翌日から1年以内に行われること

 

3.受給額

Ⅰ障害者職業能力開発訓練施設等助成金

設置等に要した費用×3/4(上限額あり)

 

Ⅱ障害者職業能力開発訓練運営費助成金

1人あたりの運営費×3/4(上限額月額16万円)

※就職困難者(重度障害者など)は運営費×4/5(上限額月額17万円)

 

6つの助成金の対象事業主

本助成金の6つのコースに共通する対象となる事業主の条件は以下の通りです。

1.事業主が満たすべき条件

事業主が以下の①~③の要件を満たすことが前提です。

①雇用保険適用事業所の事業主であること

②支給のための審査(労働局等が実施)に協力すること

※具体的には、審査に必要な書類の整備・保管・提出等です。

③申請期間内に申請をすること

※支給申請日から過去1年以内に、労働関係法令の違反があった事業主は対象外になるので注意が必要です。

【この記事の執筆者】

井ノ上 剛(いのうえ ごう)
◆1975年生 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆社会保険労務士、行政書士、奈良県橿原市議会議員
タスクマン合同法務事務所 代表
 〒542-0066 大阪市中央区瓦屋町3-7-3イースマイルビル
 (電話)06-7739-2538 
(投稿日時点の法制度に基づき執筆しています。)